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立平葺の施工に問題あり?

棟換気が付いた立平葺

棟の部分に換気が付いた立平葺(縦平もしくは立ハゼ)の屋根です。

最近の住宅でよく使われている形状の屋根葺き材で、緩勾配~急勾配まで対応できます。

いい工法なのですが、施工が???、それって「危険」じゃないですか?と。

ビス留めがわかる1枚目の立平葺

立平葺の葺き方は、まず屋根外周の端に唐草という加工した板金を取り付けます(右下に見えるもの)。

一枚目の材料は、外側の端をその唐草に引っかけて、内側(中央の白い縦ラインの左側)をビスで留めて葺きます。

写真では見えにくいですが白いラインの部分は立ち上がりの(ハゼ)加工になっていて次の板が引っかかる形状になっています。


1枚目のビス留めした部分にかぶせて2枚目を葺く

次に一枚目の白いラインの部分に引っかけて一枚目と同様に内側をビスで留めていきます。

一枚目を留めたビスが2枚目の材料にかぶさり隠れます。

これを繰り返して屋根が葺かれていきます。

最後は唐草に巻き込んで引っかけます。

また、雪止め取付金物もこのハゼの部分を挟み込む形状で留まっています。

当然ハゼのすぐ脇に打つビスをしっかり留める必要があります。

 


 私の監理する物件では、この立平材を留めるビスは、野地板・厚さ12㍉の構造用合板+屋根垂木・厚さ54~75㍉にしっかりと留めています。そのため垂木の間隔が立平材の幅に合わせて333㍉(325㍉や353㍉の幅もあります)になっています。 

 普通の垂木の間隔は野地板(長さ1820㍉)のジョイントに垂木が来るように303㍉になっています。

それで立平の場合は所々不規則に見えますが、333㍉間隔の他に1820㍉間隔でも垂木が入っています。

 

プレカット屋さんに指示を出さなければ(おまかせの現場)不規則な垂木が入っていません。ということは、垂木は303の間隔で入っていて、ビスが垂木までではなく野地板のみで留められている事になります。留まっているのは12㍉のみです。

野地板に使われている構造用合板ですが、合板は湿気に弱い性質があります。

長い年月が経たなくても条件がそろえば劣化が進みます。劣化が進めば強風にあおられて屋根材が吹き飛ばされ・・・。

 

指示をする、指示をするためには知識がない事には指示を出せません。または、知識があっても合理化・利益のためなのか?。

それとも、構造用合板だから・・・、劣化の意識がないのでしょうか?。これって長い年月の事を考えれば、こわいというよりも危険なことだと思わないのでしょうか?。私には理解できない。

 

今新築を計画されている方、あなたの家を設計している人は、永くしっかりとした家を設計できる知識がありますか?。

聞いてみてください、「屋根を立平葺にするとして、垂木の間隔はいくつになりますか?」と。この答えでその人の知識・力量が少しわかります。くれぐれも10年や20年で・・・。

 

次回、野地板の劣化が進む条件とその対策についてを。